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2018年5月29日

江戸時代から続く「天日干し製法」家族で守る茶業

大淀町 大西 正次さん

 「娘がお茶の栽培を手伝ってくれていることが一番嬉しいです」と話すのは、大淀町の森本正次さん。娘と一緒に「嘉兵衛本舗」で茶の栽培に取り組んでいる。

正次さんが営む「嘉兵衛本舗」は、江戸時代初期より代々お茶を栽培してきており、12代目の代表者として「嘉兵衛本舗」を受け継いで長女の知佳さん、次女の有佳さん、三女の恵里佳さんと一緒にヤブキタやオクミドリなどの茶2.5㌶を栽培している。

栽培する番茶は露地栽培で江戸時代から採用されてきた天日干し製法を取り入れており、8~9割程度茶が乾くまで行っている。また、緑茶は茸毛が残っている時期の茶葉を厳選して収穫している。

 露地栽培を行う事前準備として、高品質な茶を収穫できるよう土壌改良して環境作りを行い、倉庫の設置時などにも外注は一切行わず自らこなしてきたという。「圃場ごとに若干のお茶の香り、味わいが変化するため、販売時には全ての茶の味を均一に保てるよう心掛けています」と正次さん。

 販売先は主に独自で制作したホームページでの直接販売で、その他にも橿原市にある「まほろばキッチン」や道の駅「吉野路iセンター」等へも出荷しており、番茶は200㌘650円(税抜)で販売している。

 また、栽培している番茶は大淀町の特産品に認定されており、大淀町商工会が催す「番茶プロジェクト」で森本さんが栽培した茶を使用したソフトクリームやマカロンなど約20種以上の加工品が製造され、県内外で開催されるイベント等へ多数出展されている。

 次女の有佳さんは「父はこれまで常にお客さんのことを第一に考え、嘉兵衛本舗を守ってきてくれました。今後も父が築き上げてきた嘉兵衛本舗と昔からあるお茶の文化を守っていきたいです」と話す。

 今後について「若い方にきゅうすでお茶を入れて飲んでいただく習慣を持っていただきたいです。また、将来は娘三人に嘉兵衛本舗を託したいので私と一緒に強い精神力を身に付けてほしいですね」と正次さんは意欲的に話す。

「嘉兵衛本舗」で販売している天日干し番茶

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